コロナ禍に感染予防対策として玄関近くに洗面所や手洗い器を設けるリフォームを行った方は少なくありません。アフターコロナと言われる現代でも、玄関近くに洗面所を設けることにはメリットがあるため引き続き人気です。しかし、コロナ禍で取り急ぎ玄関近くに洗面所を新設した方の中には、しっかりと計画せずにリフォームをしたために、使い勝手が悪かったり、今では使わなくなってしまったりと、失敗に感じている方もいらっしゃいます。
そのため、これから玄関近くに洗面所を設けたいと考えておられる方は、慎重にプランニングを行う必要があります。玄関近くに使いやすい洗面所を作るために、ベストなサイズや失敗を防ぐポイントをご紹介したいと思います。
1.玄関近くに作る洗面所のベストなサイズとは?
玄関近くに作る場合は洗面所と言っても、個室ではなく、洗面コーナーを玄関ホールや廊下に設けることが一般的です。部屋ではないため、具体的な洗面台のサイズや必要なスペースが分からないという方は少なくありません。そこで、玄関近くに作る洗面所のベストなサイズやレイアウトを考えるうえでのポイントをご紹介したいと思います。
■手洗い用途なら半畳あれば充分!?
ひと昔前まで、洗面所は脱衣所と兼ねていることが多く、洗濯機も置いているため、マンションでは0.75坪~、戸建では1坪(約2畳)~程のスペースが一般的でした。しかし、洗面所と脱衣所、ランドリールームなど用途別に空間を分ける場合や、セカンド洗面台として玄関近くにスペースを設けるのであれば、洗面脱衣所程の広さは必要ありません。しかし、洗面台だけと言っても用途によって必要なスペースは異なります。
例えば、帰宅後に手を洗うためだけの用途であれば、幅50㎝~×奥行き30㎝~のコンパクトな手洗い器やスリム洗面台で良いかもしれません。洗面ボウルとカウンターを組み合わせて造作することも出来ますが、TOTOやLIXILなどのメーカーの既製品のラインナップも揃っており選択肢があります。半畳程のスペースがあれば充分設置出来るサイズです。
対して、この洗面台がメインの洗面台で洗顔や歯磨き、化粧なども行う場所であれば、手洗い器やスリム洗面台では使い勝手が悪く水はねもします。最低でも幅60㎝、奥行き40㎝以上は欲しいところです。家族が多く、2ボウル欲しいという場合は、120㎝以上の幅が必要になります。
用途や使用する人数、使うタイミングなどをもとに、必要なスペースを検討しましょう。
■重要なのは手洗い器よりも通路幅!
洗面所のサイズを考える際には洗面台や手洗い器自体のサイズばかり注目してしまいがちですが、玄関近くに設置する場合は、洗面所専用の空間ではないので、通路幅に注目しておくことが重要です。
廊下や玄関ホールに洗面台を設置した場合、子ども達がいる家庭や家族の人数が多い家庭では、通路幅が確保できていないと、誰かが洗面台を使う度に通り抜け出来なくなり渋滞が起こります。特にその洗面台がセカンド洗面台ではなく家の中でひとつだけのメインの洗面台であれば、どんなに洗面台自体は大きくて使いやすくても動線の邪魔になり、使い勝手の悪い洗面台になってしまいます。洗面台のサイズだけではなく、洗面台を使っている時に他の家族の通行の邪魔にならないか、通路幅は充分確保出来ているかを確認してレイアウトしましょう。
通路幅の確保が難しいと感じる場合は、手洗い器を薄型にしたり、壁厚を利用して埋め込みタイプの手洗い器を採用したり、ホールや廊下のコーナー部分に設けたりすることで通路幅を出来るだけ広く確保できるかもしれません。しかし、手洗い器を小さくしたり、埋め込みタイプにしたりする場合は、水はねが床や壁に付きやすくなり掃除が大変になるデメリットもあるので、しっかりメリットとデメリットを検討することも大事です。
2.玄関に洗面コーナーを作る時のポイント
洗面所や手洗い器のサイズや通路幅以外にも玄関近くに洗面コーナーを作るうえで、どんな点に注意すると良いのでしょうか?失敗しないためのポイントをご紹介したいと思います。
■見せる洗面コーナーにする!?
洗面コーナーを含め、水回りは家の生活感が出る部分と感じている方は少なくありません。その点で玄関近くの洗面コーナーは来客に見えやすいというデメリットがあります。手洗い器としてだけの用途ではなく、洗面や歯磨きなどメインの洗面台としての用途も兼ね備えていればなおさらプライベート空間でもあり、生活感が出てしまうので、隠したい場所となるかもしれません。
そのため、玄関近くで洗面コーナーの場所を考える際には、スペースの確保も必要ですが、見せる洗面コーナーにするのか、隠す洗面コーナーにするのか、デザイン性も含めてレイアウトを検討することが大切です。玄関土間に招き入れた来客者の目に触れる位置に洗面コーナーが来る場合や、あえて見せる洗面コーナーにしたい場合は、システム洗面台を設置するよりも、壁面のタイルやクロス、洗面ボウルのデザインなどにこだわり、デザイン性をもたせた造作洗面台にして、家のテイストにマッチさせるようにした方が悪目立ちせず、むしろオシャレな空間にすることが出来るかもしれません。
反対に、スペースがあって隠す洗面コーナーにしたいのであれば、玄関から死角になる部分に設置したり、壁や腰壁を設けたりして手洗い器や洗面台を隠すことが出来るかもしれません。玄関近くで使い勝手の良さを求めるのであれば、プライベート空間となるシューズクローク内に設置するという方法もあります。シューズクローク内であれば、土間部分に設置することで、水はねで床が濡れても気になりませんし、マルチシンクのような大きなボウルを設けて手を洗う以外にもアウトドア用品や靴を洗ったり、庭で育てた植物や野菜をキッチンまで運ぶ前に土や汚れを落としたりできて便利というメリットもあります。
■洗面アクセサリーも忘れずにレイアウト
玄関近くに洗面コーナーを作るうえで忘れがちなのが、それに伴うアクセサリーの設置です。手を洗うのであれば、拭くためのタオルが置けるようにタオルハンガーが必要となります。玄関ホールや廊下の洗面コーナーはタオルハンガーが通り抜けの邪魔になったり体が当たって危険だったりしないかを確認しておきましょう。ウイルスの感染予防や花粉症対策のためにタオルではなく、使い捨てのペーパータオルを使う方も少なくありません。その場合も、どこにペーパータオルを設置するか、捨てるゴミ箱を置くスペースがあるかどうかも確認して計画段階でレイアウトしておきましょう。
また、コンパクトな手洗い器にした方の中には、ハンドソープのボトルや石けんを置くスペースを確保出来ず、結局使わなくなったという方もいます。実際に外から帰ってきて洗面コーナーでどのような動きをするのか、必要な物や適切な位置を具体的に確認したうえで、プランニングを行うなら、カウンター付の手洗い器を選んだりニッチや収納を設けたりして、使いやすく片付く洗面コーナーを作ることが出来ます。
3. まとめ
洗面スペースを脱衣所やランドリールームと分けて玄関近くに移動させたり、セカンド洗面台を玄関近くに新設したりすることは人気です。玄関近くに設置する際には、通路としての用途も兼ねた空間なので、手洗いだけの用途の場合はコンパクトな手洗い器やスリム洗面台を設置したり、メインの洗面台の場合は、通路幅を充分に確保できるレイアウトにしたりすることを意識しましょう。また、見せる洗面コーナーにするのか、隠す洗面コーナーにするのかを考えて、家のテイストを崩さず、むしろオシャレにするために、造作洗面台にしたり壁を設置したり、レイアウトを検討することが重要です。さらに失敗を防ぐために、洗面アクセサリーも忘れず計画段階でレイアウトに加えておきましょう。
玄関近くに設置する洗面所をオシャレで使いやすいものにするために、具体的な動作を確認してベストなサイズとレイアウトをしっかり検討してリフォームしましょう。
最近は、和室を作らない家が増えています。アフターコロナで来客が減って客間が必要なくなったり、ベッド生活になったりして、今ある和室を洋室にリフォームする方も少なくありません。部屋の仕様を畳から木フローリングにするだけで見た目や仕様を洋室に変える事ができますが、その際に押入れはどうしようか、そのままにするか、上手い活用法はないものかと考える方は多いようです。
せっかくキレイにリフォームするので、押入れも洋室の雰囲気にマッチさせたいものです。和室を洋室にリフォームする際に、押入れもオシャレに便利にする方法をご紹介したいと思います。
1.押入れを洋室にマッチさせる活用法とは?
畳からフローリングに変えて洋室にリフォームする場合、押入れもリフォームすることで見た目はもちろん使い勝手を良くすることが可能です。押入れを洋室にマッチさせるためには、どのようなリフォーム方法があるのか、ご紹介したいと思います。
■押入れからクローゼットにして大容量収納に!
押入れの活用法として一番人気なのは、クローゼットに変える方法です。押入れ内の中段を撤去してハンガーパイプを設けることで、洋服を収納することが出来るクローゼットになります。
一般的なクローゼットの奥行は50〜60cmに対し、押入れの奥行は80〜90cmあるので、前後にハンガーパイプを設けることも出来ますし、下部には押入れ用の衣装ケースを並べることも出来るので、大容量収納として使えます。
押入れの場合は、天袋と言われる天井に近い部分の収納がありますが、クローゼットにする場合は、天袋を撤去して、クローゼット内に枕棚を設けて天井までの高さのあるドアを使うことで、収納全体が見やすく出し入れしやすい空間になります。
■オープンスペースで洋室を広く!
押入れとして使っていた空間だから、洋室になっても収納にすべきと考える必要はありません。扉がある収納にすることで用途は限られてしまうので、あえて押入れ部分をなくしてオープンな空間として洋室とつなげた方が使いやすくなる場合があります。
例えば、押入れだった部分にデスクやベッドなどの家具を置けば、部屋を広く使えるかもしれません。棚を設けて、押入れのような隠す収納ではなく、オシャレに見せる収納にすることも出来ます。仮に、また隠す収納にしたい場合でも、簡易的にカーテンやロールスクリーンを付けることもできますし、ドアを改めて設ける事もできて、オープンしておくことで用途に合わせて柔軟に使える空間になります。
押入れ部分も部屋にしてしまうと、フローリングを貼る部分が増えてリフォーム代が上がってしまうのではないか、と考えるかもしれませんが、クローゼットにする場合でも、補強のために床を張り替える必要があるので、リフォーム費用は大きく変わりません。しかも、畳からフローリングにする時に床を上げる必要があるので、床を作り直してひと続きにしてしまう方が部屋全体をキレイにすることになります。扉代がかからないのでお得にリフォームできます。
また、壁一面の押入れの場合は特に、クローゼットにする場合でも、洋服メインであれば、押入れほどの奥行は必要ないので、押入れの三分の二の奥行きだけを収納として残し、残りを部屋にすることで、室内側を最大限広くとることが出来ます。
2.押入れを使いやすくリフォームするポイント
押入れを洋室に合わせた仕上げ材にするだけでも、見た目はマッチしますが、より使いやすい空間にするためには、どのようにリフォームするかを考える必要があります。どんな点を意識すると使いやすくなるのか、ポイントをご紹介したいと思います。
■洋室=折戸にこだわらない!
クローゼットの扉は一般的に折戸が使われています。しかし、洋室のドアだからといって折戸にこだわる必要はありません。
洋室は、和室の時に比べて家具が増える傾向にあります。例えば、寝室で使う場合には、布団ではなくベッドになります。イスやデスクなど背の高い家具も増えるかもしれません。折戸は、収納内がひと目で見渡せるというメリットはありますが、開閉時に建具が手前に出るためのスペースを確保しておく必要があります。洋室になって家具が増えるうえにレイアウト出来る範囲が限られると狭さを感じてしまいます。
しかし、折戸にこだわらず襖と同様に引戸のままにしたり、ロールスクリーンなどで間仕切ったりすれば家具のレイアウトの幅が広がります。引違い戸であっても、表面の仕上げ材を襖ではなく木目調にしたり、アクセントクロスを張ったりするだけで、洋室に馴染む扉になります。見た目をマッチさせる方法はあるので、ドアの種類を考える時は、家具のレイアウトや導線、使い勝手などを優先的に考えて選びましょう。
■拡張すれば用途が広がる?!
押入れの広さをベースにして拡張することで、空間としての用途を広げることが出来るかもしれません。
例えば、少し拡張することでウォークインクローゼットになり収納としての用途を充実させることが出来るかもしれません。他にも、カウンタ―とイスが入るサイズにすれば、寝室横のワークスペースやメイクルームとして使うこともできます。
介護のためにベッドを置けるようにと洋室にしたのであれば、押入れを活用してトイレやシャワールーム、洗面所といった水回りスペースにすることも出来るかもしれません。
押入れの扉を今まで通り室内側に設けるのではなく、逆面の廊下や他の部屋側に扉を付けることで、さらに使いやすくなる場合もあります。
広さを少し変えたり、出入口の位置を変えたりすることで、収納以外にも使いやすい空間に出来ないか柔軟に考えることを意識してみましょう。
3. まとめ
和室を洋室にリフォームする場合は、押入れをそのままにするよりも、用途に合わせて活用できるように一緒にリフォームすることがおススメです。押入れからハンガーパイプのあるクローゼットに変えて洋服が収納できるようにしたり、押入れを撤去して部屋とひと続きにして家具を置けるようにしたりすることが出来るかもしれません。また使い勝手の良い空間になるように、ドアの種類や位置を考えること、収納空間ということにこだわらず、サイズを変えてワークスペースなどの他の用途で使える部屋にできないか検討することも大切です。
和室を洋室にリフォームする時は、押入れををどのように活用するか、選択肢が多くあることを忘れずに、暮らしに合った使い勝手の良い空間にリフォームしましょう!